65万円控除の可否

確定申告も最盛期に入り、年金受給者の確定申告不要制度やら、相続で承継した減価償却資産の償却方途やら様々な税務案件あり、事務所での税務論議もヒートアップして参りました。



そんな中、本日は不動産所得と青色申告65万円控除の適用要件について。

我が事務所の申告事案について考察です。





不動産貸付業を営む青色申告個人事業主。

その業態が事業規模に該当し、一定の帳簿記帳等の要件を満たしていれば、

65万円の青色申告控除が受けられるというもの。




ここで問題となってくるのが、その業態が事業規模に該当するか否か。




「事業規模に該当すれば65万円控除、該当しなければ10万円控除。」

本事案は事業規模該当と判断し65万円控除を適用。

これが考察の始まりでした。



その判断基準としていわゆる「5棟又は10室基準」については有名なところですが、

これは私が入所した前からある形式基準。

所得税基本通達においては、

「事業に該当するか否かの判断は社会通念に従う」

ことが原則。(実質基準)



我々業界ではよく意見がぶつかるところですが、

鼻息あらい私などは「社会通念に従う」のであれば、

いつからあるのか「5棟又は10室基準」など時代錯誤。

我が生きてきた感性と常識に従って判断したい。

貸付の対価の総額、記帳レベル。

十分事業規模(65万円控除OK)ではないか!




・・・・と声高らかに持論を展開したいころですが、

・・・・どうどうどう。





渡部正先生より、

「平成19年12月4日付採決事例の考察」(税務広報 2010.8)

この記事をどう考えるか?



えっ、・・・・・・・・。




そこには社会通念とはこうだよという、

事業性の判断基準が事細かに記載されておりました。

事業規模性の前にそもそも事業か業務かの判断。

目からうろこ・・、こんな採決事例が出ていたのですね。

画像



子細は省略ですが、つまりは本事案、この採決事例と酷似点あり。

十分検討しなければならないということでございます。



過信は禁物、日々勉強が大切。


渡部先生、ありがとうございました

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